処理方法
「飲・食・浴・塗・洗」の
5つの利用方法
- 飲用
- 基本は処理方法②(焙煎)を煎じるか急須に淹れてお茶がわりに飲んでください。成人の方は、処理方法④(焼酎漬)を好みの濃さで割ったり、お酒を処理方法③(煎液)で割って飲むことも健康法の1つです(飲み過ぎにはご注意ください)。薬草は採取時期によってアクが強くなり、生や乾燥したものは飲みにくさを感じることがあります。即効性が期待できるものも中にはありますが、あくまで民間療法として、安全で気長に毎日続けることが重要です。
- 食用
- 旬の時期に採取し、根・茎・葉・花などを食します。柔らかい新芽の時期が一番食べ頃です。生より調理をした方が食べやすくなるものが多いようです。基本的な下ごしらえは、採取したものはよく水洗いし、多めに塩を入れた水を沸かし、沸騰したら薬草を茹でます。頃合いを見てお湯から上げ冷水に浸した後、水気をしっかり切ります。細かく刻んで、煮物・ハンバーグ・餃子など和洋中問わず色々な料理の具材に利用できます。阿蘇薬草園では、薄口醤油・味醂などで味付けて、ご飯に混ぜて菜飯にしたり、だご汁などに入れた料理が名物です。旬の薬草採取が難しい場合は、処理方法①(乾燥)を煎じて、だし汁や具材を入れ、薄口醤油・塩・味醂などで味を整え食事に取り入れることもおすすめしています。
- 浴用
- 処理方法③(煎液)を自分の好みの濃さでお風呂に入れます。「よもぎ」は肌のかゆみに、「どくだみ」はあせもに、古くからよく使われてきた方法です。冬はみかんなどの柑橘類の皮などを使用すると温まるので、冷え対策には、よもぎ・みかんの皮・しょうがなどの処理方法③(煎液)を加えた「足湯」をおすすめしています。その他、昔の女性は婦人科系の調子が悪い時、よもぎを炊き出し桶に入れ蒸気を利用して座浴、今で言う「よもぎ蒸し」を多用していたようです。
- 塗用
- 湿布やスプレーを作っておくと便利です。痛い・かゆい部分には、「よもぎ+びわの葉+またたび+おおばこ」の配合がおすすめです。湿布は、処理方法④(焼酎漬)をキッチンペーパーの全面に染み込ませ、16折にして袋に保管し、夏は冷やして冬は温めて使います。スプレーは、処理方法④(焼酎漬)の上澄みのキレイな部分をスプレーボトルに入れ、直接塗布して擦り込みます。その他、処理方法③(煎液)に精製水やグリセリンを加えて化粧水、蒸しタオルに染み込ませてホットパックに利用するなどの美容法もあります。また、蒸留した蒸留水や精油を化粧品などに用いることも増えています。
- 洗用
- 痛い・かゆいなど不具合を感じる部分を処理方法③(煎液)や処理方法④(焼酎漬)を使って洗い清めます。喉にはうがい液として、鼻や耳には綿棒などで対応してください。塗用のおすすめ配合を利用すると手間が省けて便利です。蓄膿など化膿性のものには、「よもぎ+ゆきのした」がおすすめです。
薬草との付き合い方
薬草を多用する民間療法では分量・用途など、西洋医薬品や漢方薬と違い「処方箋」がないため、全てが大雑把で地域によっても扱い方が異なることも多々あります。また、効能・効果についても非常に緩慢であるといわざるを得ません。
しかし、これらはデメリットではく、古来より、自分の体の声を聞き、自然と共存しながら確立してきた、その土地土地に根づく民間療法の個性なのです。
本来であれば、その土地ごとに薬草に詳しい方がいたはずですが、残念なことに、それらを伝承する人が絶えつつあり、自力で探していくしかないのが現状です。そのため、薬草の正しい知識をもって使うことが重要であり、症状や病気によっては、医師・薬剤師・専門家の指導を受けて使用することをおすすめします。薬草を扱うにあたり、自己責任のもと、自分の目的に合わせて、安全性を確かめた上で、3ヶ月を目処に使用することを心がけてください。薬草と接することは自分自身と向き合うことでもあります。薬草を通して自分なりの体調管理法を見つけてください。